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[OSASK 719] フォーマットについて(Re:ssizz1).
こんばんは、川合です。
Myurika さんは 2000/06/02 18:35:01 の「[OSASK 718] Re: ssizz1.」
で書きました:
> フォーマットは…、どのみちSMFが再生できないというのは死活問題になる、で
>あろうので、SMFあたりに落ち着くんでしょうか。
> あのフォーマットはいろいろ扱いづらかったりするので、個人的にはあんまり
>好きではないのですが…。
># そもそもマルチポートとか、タイトルとか、そういったものがしっかり定義さ
>れてないというのが、なんかイヤで…。
ここで、ちょうどいい話題になったので、OSASKでのデーターファイ
ルフォーマットについての方針を書いておきます。
OSASKでは、既存の標準フォーマットは必ずサポートされます。これ
を無視してしまったら、ちっとも使いやすくないOSになってしまうから
です。ですから、おっしゃるとおり、SMFはサポートされるでしょう。
しかし一方、よりよいものを追求することをあきらめたわけではあり
ません。標準に流されることなく、良いものを追求して行くこともOSAS
Kの大切な信念です。
この相反する方針を、以下の方法でカバーしていこうと考えています
。
たとえば、僕がミュージックファイルの形式で実にいい案を持ってい
たとします。そして、是非ともこの自分の考えたフォーマットを標準に
したい、と思ったとします。
最初に僕がやることは、自分のミュージックフォーマットファイルを
再生できるプレイヤーの作成です。このプレイヤーは、SMFなどの標準
的なファイルも演奏できるようにしておきます。そして、このプレイヤ
ーの完成度を非常に高いものにして、たくさんの人に使ってもらえるよ
うに努力し、このプレイヤーを事実上の標準にしてしまいます。
そうして、標準的なプレイヤーが自分のフォーマットをサポートして
くれる状態になりました。今度は、音楽データーのファイルコンバータ
ーを作ります。・・・これで、SMFから自分のフォーマットへ変換でき
るようになります。
こうなれば、後は自然淘汰です。もし、本当に僕が考えたフォーマッ
トが優れているのなら(たとえば、プレイヤーがコンパクトにできると
か、データーファイルが小さくなるとか)、自然と、そちらの方へ標準
が動いていくはずです。動かなかったら、社会は僕のフォーマットより
もSMFの方が優れていると思ったのでしょうから、あきらめて自分だけ
でこのフォーマットを使います。
・・・と、こんな風に、たくさんのフォーマット規格が競争して、良
いものが生き残ればいいと考えています。ですから、新しいフォーマッ
ト案を持っている野心的な方はOSASK開発者にぴったりの性格です。既
存の標準を飲み込んで、塗り替えていってほしいです。
少し話が脱線しますが、われわれがやろうとしていることは、上の話
によく似ています。「プレイヤー」を「OS」と読み替えて、「音楽ファ
イル」を「全ての種類のファイル」に置き換えれば、まさに同じなので
す。・・・そして、全てのファイルフォーマットを精練されたものにす
る機会を与えたいのです(もっとも不満があるのは、実行ファイルだっ
たりする・・・みんなでかすぎる!)。
ファイルフォーマットに関する話に戻ります。
上記の話は、それなりにはうまくいくかもしれませんが、問題もあり
ます。もし、僕に、「優れたフォーマットを考案する能力」はあるが、
「優れたプレイヤーを作る能力」が無かったらどうでしょう?・・・こ
ういうときのために、フォーマットフィルターに関する案があります。
OSASKの普通のアプリケーションは、たった1種類のフォーマットし
かサポートしません。たとえば、あるグラフィックビュワーは、BMPし
かサポートしていないとしましょう。
このアプリケーションは、シェルに、「私はBMPしかデコードできま
せん」と通達します。そうすると、あら不思議、このアプリケーション
で、JPEGやGIF、TIFFなどが見られるようになってしまうのです。シェ
ルはファイルをアプリケーションに回す際に、フォーマットが不一致な
ら、フォーマットコンバーターを勝手に呼び出し、コンバートしたファ
イルを渡すのです。なお、このコンバーターさえ充実させれば、テキス
トファイルやhtmlファイル、ワード文章も「ビュー」できます(全部、
表示イメージをBMPとしてコンバートする)。さらに、音楽ファイルを
「ビュー」したら、楽譜が出てきたりすると最高ですね。
ですから、OSASKにおいては、新しい音楽ファイルフォーマットを標
準にするために、かっこいいプレイヤーを作らなくてもいいんです。コ
ンバーターさえ作ればいいわけです。
逆に、プレイヤー作者も、自分がプログラムしやすいフォーマットだ
けサポートすればいいんです。後は、コンバーターに任せましょう。
この「コンバートをシステムに任せることで、利用者もプログラマー
も楽ができる」という発想は、OSASKではよく出てきます。アプリケー
ションそのものだって、TOWNSが好きならTOWNS用の言語でTOWNS用に開
発すればいいんです。Windowsのシステムコールが好きならWindows用に
開発すればいいでしょう。OSASKはそんなアプリケーションでも全部エ
ミュレーターでめんどうをみます。CPUも好きなのを選んでください。
Z80用でも、68K用でも、PowerPC用でも、Alpha用でも、もうなんでもど
んとこい、です。
通信プロトコルもしかりです。TCP/IPはもちろんサポートされますが
他のプロトコルも大歓迎です。プロトコルコンバーターくらい、作るの
はわけないです。
OSASKは、標準を確立するためのフロンティアですが、きっと競争も
激しいでしょう。そして、良いものが生き残るのです。悪いものも見捨
てられないのです。・・・われわれは、最初にとりあえずOSASKでの標
準も打ち立てますが、きっと後から良いものが出てマイナーへと追い立
てられてしまうでしょう。最後には、もうわれわれが最初に提唱したも
のは何一つ標準としては残っていないかもしれません。しかしそれは、
全ての面で改善がなされたことを意味していて、決して悲しいことでは
ないのです。
>>> 実現するといいですね。微力ながら、お手伝いできれば…、と思ってます。
>> ええ、あてにしていますよ(笑)。
> えっ、あてにされてるんですか(苦笑)。
> ご期待に添えるように…、といきたいところですが、やれる範囲で頑張ります。
そうです。したいことだけをしたいだけしていただければ、それで充
分に助かります。そうすれば、僕は、みんなが嫌がるようなどろどろし
たところに専念できますから。
それでは。
--
川合 秀実(KAWAI Hidemi)
川合堂社長 / OSASK計画総指揮 / カーネル開発班
E-mail:kawai !Atmark! imasy.or.jp
Homepage http://www.imasy.or.jp/~kawai/