こんにちは、川合です。 Kunio Nakamaru さんは 2003/11/30 19:41:04 の「[osask 6719] OSASK における認証認可」で書きました: (引用前略) >ですが、こういったアプリケーション層なしでは、OSASKはOSレベルでの認証認可は >どのようになっているのでしょうか?Linuxのようにユーザ、グループ所有者を >READ、 >WRITE、EXECUTEでわけるのか?はたまた、WindowsNTのように、グループや個々ユー >ザ >に対して、多くの権限をつけられるようになっているのか? >この辺をOSレベルで又はアプリケーションでどのようにどうサポートしていくのか >は、他OSから >OSASKのファイルシステムにあるデータをアクセスするのに、深く関わってくるかと >思っております。 (引用後略) OSASK-Wiki(*1)のnaviで調べると、 *1: http://remo.s10.xrea.com/osawiki/pukiwiki.php?navi この手の話は、まさに[OSASK 401]から始まっているのですが、これは 簡単には見られない所にしまってあるので、ここで一応適当に要約して おきます(もし今回の発言と前回との発言とに食い違いがあれば、それ は僕がより深く考えて意見を修正したものと判断してください)。 --- まず、LinuxもWinNTも、セキュリティの基本は「あなたが誰であるか 」ということと、それらのアクセス権限が「誰に」許されているか、と いう考えをベースにしています。・・・だから最初にログインして自分 が誰であるのかをOSに伝えるわけです。 僕の案は違います。一度たりとも、あなたが誰であるかを特定しよう とはしません。あるファイルにアクセスしたい場合、その経路にセキュ リティをかけることができますが(経路にかける、というのも重要な話 なのですが、今はそこにはこだわらないでください)、それはだれそれ なら許可するとか、○×グループであれば許可するというものではあり ません。設定しておいたパスワードのどれかであれば許可する、という ものです。ユーザIDはない、と考えてください。どのパスワードでアク セスしたかはログに残るでしょうが、それが誰であるのかはログには残 りません。 僕の案の場合、同じファイルにアクセスする場合でも、同じパスワー ドで通れる場合でも、とにかくやたらとパスワードが必要です。僕はこ の案を、「鍵」という喩えで説明します。僕たちはドアの向こうに行く ために、鍵を持ちます。鍵を開けて中に入るわけです。逆に言えば、鍵 さえ持っていれば、それが誰であるかを全く考えません。・・・全ての ドアに同じ鍵をかけてもいいですし、ドアごとに違う鍵でもいいです。 一方、Linuxなどの方法は、身分証明方式といえます。ドアに鍵を掛 けるのではなく、最初に窓口で身分証明証をもらい、それを首にぶら下 げます。ドアには門番がいて、それをちらっとみて、ドアを開けるかど うかを決めています。 Linux方式の最大の問題は、成りすまされたら、やりたい放題になる ことです。一方、僕の案の場合、成りすますということはありません。 合鍵を持たれたというだけのことです。その鍵で開く部分は破滅でしょ う。しかし他の部分には影響しません。 また僕の案の場合、グループという考え方も不要です。共有したいも のがあればそこにパスワードを設定し、それをその人たちに伝えれば済 みます。 --- この僕の案ですが、OSASKはこれだけしかサポートしないということ ではありません。やろうと思えば、ユーザ認証式のシステムも組み込め ます。両方がイネーブルで、組み合わせて利用できるようになるかもし れません。 --- また、僕の案だといくつかのパスワードを管理しなければいけなくな るかもしれません。そうなれば、当然シェル側にパスワード管理支援機 能が付くでしょう。シェルが一度通ったパスワードを覚えていてくれる わけです。そうすれば毎回入力しなければいけないということにはなり ません。 --- それと、これは僕の持論ですが、どんなに複雑なシステムを作っても データが入ったHDDやCD-ROM、CFやFDなどが持ち出されたら、簡単にあ ばけます。これらのセキュリティが有効なのは、ネットワークの向こう へのアクセスだけです。サーバがおいてある建物に泥棒が入ってしまえ ばおしまいです。 OSASKではスーパーユーザーという考え方もありません。そのデバイ スを物理的にアクセスできる人、つまり、HDDやCD-ROM、CFやFDが手元 にあれば、あなたはOSASKにおけるスーパーユーザーです。逆にあなた がネットワーク越しにアクセスしているのなら、あなたはどんなにすば らしくて尊敬されてして信頼されていようとも、ただの1ユーザです。 誰かにパスワードを教えてもらうか、パスワードクラックしない限り、 アクセスすることはできません(ただし、デバイスへの低レベルのアク セスを、ある種のパスワードが入ったら許可するというという設定なら 、その時はネットワーク越しでも全てのファイルにアクセス可能)。 OSASKでは、パスワードクラックを認識したら(パスワードを連続で 10回間違える、など)、もはやスーパーユーザー以外のアクセスを全て 禁止してしまうモードに移行させる機能も付けるつもりです。 僕はOSASKにパスワード解析ツールなどを付けるつもりです。つまり 中古PCにHDDなどが入っていて、その中身がセキュリティロックされて いたとしても、それは容易にロックを超えられるのです。ネットワーク の向こうに対しては、これらのツールは無力です(先のように低レベル アクセスを許していれば、ネットワークの向こうでも有効)。もちろん OSASKですので、OSASKのファイルシステムだけではなく、他のファイル システムもアンロックして読み書きできます。 これは悪いことをやれという意味ではなく、もし管理者である自分が パスワードを忘れて困ってしまったら、これらのツールで助けてあげよ う、という意味です。・・・僕の考えとしては、特定のスキルある人に できることは、誰にでもできるようにしたいのです。そしてこれによっ て、本当は何が安全で何が安全でないかを、初心者にも実感してもらい たいのです。 もしFDやCFを落としてしまったり盗まれたりしても安心したいなら、 データそのものを暗号化しておくしかないでしょう。これはアクセス速 度が落ちますが、その分安全といえます。 それでは。 -- 川合 秀実(KAWAI Hidemi) OSASK計画代表 / システム設計開発担当 E-mail:kawai !Atmark! imasy.org Homepage http://www.imasy.org/~kawai/