このメールは、OSASK伝言板に書き込まれた内容です。 この書き込みに返事を書く場合は、下のURLから書き込みを行なって下さい http://www.imasy.org/~mone/osask/index.cgi?REFER=3e73e68e_15680 2003/03/16 11:50 川合秀実 [OSASK 5812]へのレスです。 SHさんの分析を踏まえて、IPA向きのストーリーを考えてみたいと思います。 ええとその前に、以下の分析についてコメントさせてください。 >個人的な感想ですが、川合さんが力を入れてアピールされている >部分は○に位置付けられるのではないかと思います。 > 技術に関心がある > ↑ > ○ | >経済的自立度が低い ←ーー+ーー→ 経済的自立度が高い > | > ↓ > 利用に関心がある これはこれでいいのです。僕はOSASKコミュニティに対してKHBIOSを売り込ん でいたので、「経済的自立度が低い」人でも納得できるような説明を中心にしま した。また、技術的な話題は、コミュニティが「なるほどこれなら川合がいうと おり短期間の開発でできそうだ」という認識に確実に到達してもらうためです。 どんなに利用形態がすばらしくても、僕の開発速度を考えたらどこまで期待でき るか分からなくなってしまうでしょう。また短期間でKHBIOSが仕上がらなかった ら、OSASK開発が長期停滞してしまうことにもなり、それもコミュニティとして は納得がいかないだろうと思ったのです。 さて、以下はIPA向きのストーリー案です。 --- 1.デジタルデバイド ファミコンは使えたがパソコンは使えない、ワープロは使えたがパソコンは使 えないという人はいる。この層の人たちはアプリケーションは使いこなせるが、 OSの操作ができないか、もしくはOSの操作を極度に嫌っている。嫌われるOS操作 のリストアップしてみるとこうだろう。 ・マルチユーザOSの場合のログイン動作 ・アプリケーションの起動作業 ・誤って操作して、見なれない画面が出たときの対処 ・アプリやOSのインストール・アンインストール作業 これらの問題を解決するには、シングルユーザ前提で、OSの起動と同時に特定 のアプリ(もしくは、選択肢が5個以内のアプリメニュー)が起動して、もはやバ ージョンアップも、追加インストールもできないような、そういうソフトウェア を開発し、それをプリインストールしたパソコンを販売すれば、もちろん解決で きる。しかし、今やパソコンに求められる目的は5種類では到底カバーできない 。web閲覧、メールの読み書き、ホームページ作成、ワープロ、表計算、プレゼ ンテーション・・・。さらに、バージョンアップも追加インストールも全くでき ないというのは、購入者にとって非常に不安である。その上、ハードウェアのコ ストは「普通のなんでもできるパソコン」と何ら変わりなく、販売価格も同じ程 度にしかできないだろう。このようなパソコンはあまり売れないだろうし、だか らこういうパソコンを積極的に製造しようというメーカもない。そして結局デジ タルデバイドは解消しない。 2.CD-ROMブート 近年のパソコンにはCD-ROMブートというものがある。これはOSのインストーラ でよく使われる。これはリムーバブルメディアからのブートという意味で大変す ばらしいことである。なぜなら、リムーバブルメディアからのブートこそ、デジ タルデバイドを解消しうる可能性があるからである。 もしリムーバブルメディアからのブートを前提にするなら、先のようなソフト ウェアをリムーバブルメディアに入れてしまえばいいということである。そして もはや5種類のメニューもいらないだろう。ユーザは自分のやりたいことにあわ せて、メディアをセットして電源を入れるだけである。使いたいソフトが増えた ら、そのソフトがインストールされているメディアを購入すればそれでよいし、 いらなくなればそのメディアごと破棄してしまってよい。まさにファミコン感覚 である。・・・さらに従来通りのパソコン操作になじんだ私たちは、そういうOS がインストールされたメディアをセットして起動すればいいだけのことである。 デジタルデバイドの解消という面ではないが、CD-ROMからインストーラを起動 するのではなく、そのままOSを起動できるという実例で一番分かりやすいのは「 KNOPPIX」だろう。 3.コンパクトフラッシュ そもそもリムーバブルドライブからのブートといえば、初代のAT互換機からず っとサポートされてきたメディアがある。それはフロッピーディスクである。し かしフロッピーディスクはアクセスが遅い上に容量があまりに小さく、その上、 信頼性という点でも不安がある。 そこに現われたのがCD-ROMブートであり、容量の問題もアクセススピードの問 題も信頼性の問題もほぼ克服できるようになったといってよい。しかし、CD-ROM だとリードしかできず、作成したワープロの文章や表計算データを保存させると したら、また別のデバイスが必要である。また電源OFFの状態でメディアの交換 ができない機種も多い(これはCD-ROMを入れ替えてスイッチONというファミコン スタイルの実現の足かせになる)。 ここで私はコンパクトフラッシュというメディアを提案したい。もちろん現状 では、コンパクトフラッシュからブートできるパソコンは本当に数えるほどしか なく、その意味で全く現実味がないのであるが、それをいったん保留にしてコン パクトフラッシュからブートできるとしたらどうなるかを述べさせてほしい。 コンパクトフラッシュは名刺の大きさの1/3ほどの大きさで、フラッシュメモ リによるストレージデバイスである。リードもライトも高速にでき、ノートパソ コンならわずか500円ほどのアダプタを付ければPCカードスロットにセットして アクセスできるし、デスクトップパソコンも1,000円ほどのアダプタを付けるこ とでUSBデバイスとしてアクセス可能である。問題は、記憶容量あたりのメディ アのコストが高いことであり、128MBのメディアが4,500円ほどである。しかし、 32MBであれば1,600円ほどであり、もしこの容量で収まるのであればメディアの コスト問題は何とかなるだろう(なお、64MBなら2,500円)。 コンパクトフラッシュはフロッピーディスクとCD-ROMの中間ほどの記憶容量で 電源OFF状態でメディアの交換ができ、かさばらない。ブートデバイスとしては 理想的なメディアである。他のフラッシュメモリデバイスに比べると、規格上の 容量の上限が途方もなく大きいこと(原理的にハードディスクと同じ容量までカ バーできるため)、単なるストレージデバイスを超えてネットワークカードなど の拡張カードスロットとして流用できるなどの点で拡張にすぐれ、今後も長く互 換性を維持したまま発展していくだろうと思われるからである。動作音が静粛で あり、衝撃にも強く、消費電力も小さい。どの点もパソコンのデバイスとして理 想的である。 (つづく・・・)