[OSASK 6170] Re: OSASKの由来について、他

  こんにちは、川合です。


 Matsuda さんは 2003/05/18 13:12:09 の「[OSASK 6166] Re: OSASKの
由来について、他」で書きました:

>また別の角度から質問させてくださいませ。
>
>この三者をブランドとして見た場合、
>
>・川合さん的
>・コンピューターの将来のため的
>・向こう2年間の市場規模的
>・向こう20年間の市場規模的
>・どれが最終的に人類総体をより幸福にするか的
>
>に評価するとどうなるでしょうか。

  ええとじゃあ、僕は一番上の立場に立って説明しますが、まあ結局は
残りの4つにも関連するとは思います。

  僕はOSASKを「自分が使いたいOSがなかった、だから作る」という極
めて単純な動機で作っています。コンピュータの将来とか、市場に普及
させるためとか、まして人類の幸福のためなんていう大きなスケールで
は考えていません。

  だからたとえばマイクロソフトが僕のほしいOSを作ってくれたら、僕
は開発をやめて、お金を出してそのOSを買って、毎日ありがたいなあと
思いながら喜んで使うことは十分にありえます。

  そして僕がOSASKをオープンソースにしているのは、ただ隠す必要が
なかったから、という程度のものです。公開しておけば、もしかしたら
誰かの役に立つかもしれない、立たないかもしれない。でも見たくない
人は見なければいいんだし、問題はないだろう、ということです。

  もちろん、手伝ってくれる人が出てくるかもしれないとは思っていま
すし、実際手伝ってもらってもいます。

  僕がOSASKを無料で公開しているのは、これも別にお金を取る必要が
ないからです。僕はお客さんのためにOSを作っているわけではありませ
んし、自分の生活のために作っているわけでもありません。自分が作り
たいものを作っていて、もしこれを使いたいという人がいるなら、ただ
であげるよ、というだけのことです。

  だから「こうすればもっと普及するぞ」「こうすれば人類のためにな
る」という要望を寄せられても、僕がその意見を採択しないことはあり
えます。

  ただこれは僕の持論ですが、「みんなのため」というのは、たいてい
多数決の結果だったり、その前に「きっと」という一言が付いたりする
ものです。漠然とした「みんな」という対象を前提にソフトウェアを作
るよりも、ただひとりの人間を満足させるためだけに一貫した設計を貫
くほうが、よほどよいソフトウェアになると僕は思います。

  ということで、僕の立場に立つと、LinuxもTRONも僕を満足させるこ
とができなかったからOSASKを作る、ということになるでしょう。Linux
にはLinuxの理由や理念があるでしょうし、TRONもそうでしょう。それ
らについては僕はあまり興味がないので分かりません。

  ただOSASKがどこまでも僕の自分勝手なOSであるという認識もあまり
正しくはないかもしれません。OSASK計画では、僕への反対票を投じる
ことをある程度奨励していて、僕の方針が気に入らなければ、OSASKの
ソースと必要な人材を好きなだけ持っていって、新プロジェクトを立ち
あげていいことになっています。Linuxではこれは非常によくないこと
とされています。

  この結果OSASKでは各自ががんばる気概さえあれば、自分の好きな未
来像を描くことができます(その場合はOSASKとは違うブランドになる
でしょうけど)。

  そして僕が望んでいるのは、OSASKのひとり勝ちという状況ではなく
て、それぞれが競争にさらされつつ、進歩に邁進していくことです。住
み別けが起きたりもするでしょう。そして僕の思惑通りエミュレータOS
こそこれからの時代のOSだということになれば、OSASKでLinuxやTRONの
ソフトが実行できますし、LiunxもエミュレータOS化してOSASKやTRONの
ソフトを実行できるようになるでしょう。TRONやWindowsだって生き残
るためにそうなるでしょう。そしてどのOSもOSASKのようにどんどんコ
ンパクトになって高速化と省電力化していくはずです。


  それでは。

--
    川合 秀実(KAWAI Hidemi)
OSASK計画代表 / システム設計開発担当
E-mail:kawai !Atmark! imasy.org
Homepage http://www.imasy.org/~kawai/



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