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[OSASK 2307] Re: 新ぼやきページ.



  こんにちは、川合です。


isao ogawa さんは 2001/10/15 00:26:31 の「[OSASK 2306] Re: [OSAS
K 2305] Re: 新ぼやきページ.」で書きました:

> えー。「ぼやき」のページに関しては、どこが悪いとかどこをどうすれば
>もっと良くなる、とか言う意見はあんまり出せないんですけどぉ。
>
> とりあえず、比較対象があれしかないのでは、比較という事自体が
>あまり意味が無いような気がするのですよ。
>
> 受けた印象としては、「プロ野球」も」「セミプロ」も、「市外の草野球」も除いて
>「市内の草野球チーム」だけで争おうとしたら、4チームしかなくて、更にその内
>3チームはほとんどメンバーが一緒だった、と言った所です。
>
> 以上、感想でした。

  ご感想をありがとうございます。

  まず、この印象は確かに的確なものであると思います。なんといって
も、比較対象が4つあるように見えて、そのうちの3つは目的が近いので
すから。

  しかしこれはいかに日本のOS開発プロジェクトが少ないかということ
と無関係ではないと思うのです。

  スポーツのたとえはある種の分かりやすさがあると思ったので、僕も
例を出しますが、

  スポーツのうちで、

・プロじゃなくて
・国内で盛んなもので
・ちょっと今ではやらないかもしれないほど古いものでもなくて
・バスケットボールではないもの

みたいな感じにしたら、あんなふうになってしまったというのが僕の言
い分です。

  たとえば、ある日本人がOS開発を志したとしましょう。彼(まあ女性
かもしれませんが)には、既存のプロジェクトに参加するか、自分でプ
ロジェクトを立ち上げるかを選べます。

  どちらを選ぶにしても、まずはどんなプロジェクトがあるのかを知り
たいと思うはずです。

  できれば、国内のものの方が言葉の面でしきいが小さいでしょう。ま
た企業が開発しているものに加わるには就職しなければいけないかもし
れないですし、ソースを公開していないかもしれません。それに今から
8bitや16bitのOSを作るっていうのも興味が湧かないと思うんです。こ
の上にUNIX系を除外したのは、フリーOSの歴史や規模の点で圧倒的に別
格だと感じているからです。

  いろいろ反論があるかもしれませんが、僕の率直な印象は以下のよう
になっています。

・全世界の非UNIX系オープンソースOS開発プロジェクトを全部まとめて
  も、UNIX系にはかなわない。

・そのUNIX系の強さは圧倒的で、ほとんどの企業開発OSよりも開発が進
  んでいる。素晴らしい。

・しかしそのUNIX系でさえも、Windows系には「使いやすさ」という面
  で全く太刀打ちできていない(一般的な普及のシェアを根拠にしてい
  ます)。・・・安定性では優れているのに、一般にはその価値は認め
  られていないのだろう(使いやすさが完成度と関係あるのかと言われ
  ると少し苦しいのですが、しかし僕は使いやすさの追求も完成度の一
  つだと思っています)。

  ですからWindowsと競う前にUNIXと競わなければいけませんが、しか
しその前に非UNIX系で一番にならないと勝負にもなりません。

  それにもしかしたら、僕の知らないプロジェクトが国内に数個はある
のかもしれません。仮にそうだとしてそのプロジェクトを誰かが僕に教
えてくれれば、あのページはもうちょっとマシになるんですが・・・。

---

  しかしそれにしてもBTRON系しかないということには、僕も驚きまし
た。もし日本にUNIX系とBTRON系のプロジェクトしかないとしたら、そ
れは僕はちょっとがっかりです。僕に言わせれば(ちょっと言葉が悪い
ですが)、どちらもお金さえだせば買えるものをフリーで再構築してい
るに過ぎません。もちろん、Linuxが既に商用のUNIXを超えつつあるよ
うな雰囲気なので、それが価値あることだという事については僕も大い
に認めますが。

  ですからもしユニークであるものだけで比較するなら、OSASKは世界
に通用すると思っています(それでももちろん到底一位にはなれないで
しょうけど)。「エミュレーターOS」「性能追求」「コンパクト」など
、OSASKは明確に個性を打ち出しています。この個性に魅力を感じるか
どうかは人それぞれかもしれませんが、既にあるOSの真似をすることや
特に目的もなくOSを作っているというのとは違うと思っています。

---

  さてエントリー基準やエントリーしているプロジェクトが少ないとい
う問題を抱えたままだとしても、あの比較には意味があると僕は思って
います。

  OSASKという開発プロジェクトが日本にあるということそのものは、
「エミュレーターOS」であるというインパクトや、みなさまの積極的な
リンクのおかげで知られるようになってきたと感じています。少なくと
も、BTRON系の開発プロジェクトと同じくらいの知名度はあると思いま
す。

  しかし一方、その進行度合いに関する認識はひどいものです。

OSASK:
・構想ばかりが先行してバイナリーはない。
・ただWindowsとかに不満がある人たちが集まっているだけだろ。
・DOSからしか起動できないからOSじゃない。
・10年経ってもきっと大差ない状況だろう。

BTORN系:
・かなり以前から地道にやっている。
・日本で力のあるプログラマーが集まっている。
・既に複数のプロジェクトに分化するほど発展している。
・OSとしての完成度にはかなりのところまで来ているが、僕はBTRONに
  関心がないから使わないよ。

なんていう認識が前提になっている発言を時々見掛けます(掲示板など
で)。

  これはなんとしても払拭したいイメージです。僕はBTRON系が過大評
価されるのはかまいませんが(もしかしたら僕が知らないだけで、EOTA
やB-Freeの完成度はすさまじいのかもしれませんし)、OSASKが実際の
機能・性能よりもはるかに下回った評価が時々出てくる事には苦痛を覚
えます。

  僕個人としては、今のOSASKの完成度がほめられたものではないと思
いますが、BTRON系と2倍以上の差が付いているとは思っていません。

  できるだけ客観的な立場で比較をしてその結果を公表する事は、この
現状の解決の役に立つのではないかと思っています。

> で、昨日の「ぼやき」メール以降、ずっと検索していましたが、
>結局 OSASK のページやそれ関連のページに辿り着けませんでした。
>
> 検索の条件は以下の通り。
>
> ・川合堂、OSASK 等のクリーンヒットワードは使用禁止。
> ・OS、開発、挑戦、進行、状況、自主開発 等の自作OSを匂わせるものを使用。
> ・nifty、infoseek、excite で検索。

  僕は上に書きましたとおり、知名度についてはそんなに危惧していま
せん。また僕が最近の検索サイトで最強ではないかと思っている、

   http://www.google.co.jp/

でならきっと見つけてもらえるのではないかと思うのです。・・・って
試してみました。

  駄目でした。そもそもUNIX系以外のどんなOS製作プロジェクトも引っ
かかりません。

  もうちょっとがんばってリンク数が増えないとスコアが伸びないみた
いです。


  それでは。

--
    川合 秀実(KAWAI Hidemi)
川合堂社長 / OSASK計画総指揮 / カーネル開発班
E-mail:kawai !Atmark! imasy.org
Homepage http://www.imasy.org/~kawai/