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[OSASK 3862] 「未踏ソフト」報告.



  こんにちは、川合です。

  IPAの「未踏ソフトウェア創造事業」への応募についてですが、Mr.BO
Wさんから公開OKの連絡をいただきましたので、ご報告いたします。な
お、今はOSASK ver.2.6やNASKの開発で忙しいので、ここでは要点だけ
を書いておきます。詳細はぼやきページに書きます。しばらくお待ちく
ださい。

  ええと、もっとも注目しているであろうその結果から申し上げますが
、今年度は不採択です。なぜ不採択になったのか、などについては後述
します。

・PM(プロジェクトマネージャー)選択

  まず、PMを選択するにあたって、僕とMr.BOWさんはそれぞれのPMのテ
ーマを吟味いたしました。要点をまとめると、こんな感じです。

1.金出先生    (ロボット・人工知能)
2.新部先生    (GNU/Linux)
3.喜連川先生  (データベース)
4.紀先生      (OSも可)...事業化前提
5.田中先生    (web・マルチメディア)
6.近山先生    (芸術や娯楽特化、汎用は駄目)
7.徳田先生    (ユビキタス)
8.萩谷先生    (OSも可)
9.増井先生    (新ユーザインターフェース)
10.村岡先生    (独創的ならなんでも可)...学生か学生に準ずるもののみ
11.Alan Kay先生(英語の敷居の高さですぐにあきらめました)

  ということで選択肢としては、新部先生、紀先生、萩谷先生、村岡先
生を選びました。そんでもって、さらに詳細な検討に入りました。

2.新部先生
    → Linux用のツールやドライバなどを期待しているようで、それに
       対抗するように見えるOSASKを前向きに評価してくれるのはあま
       り期待できないだろう。

4.紀先生
    → 事業化前提というのが痛い。基本的に将来の採算性を全く考え
       ていないOSASK計画は嫌がられるか、もしくは軌道修正を要求さ
       れる可能性が高い。

8.萩谷先生
    → 問題はなさそう。第二希望として決定。

10.村岡先生
    → 小額のプロジェクトも受け付けてくれるし、浪人生なども学生
       とみなすそうなので、第一希望として決定。

  ・・・ということで、村岡先生と萩谷先生をPMとして選んで応募しま
した。応募の際の提案テーマ詳細説明については、ぼやきページに書く
ときに公開します。

・予算

  僕たちの予算は300万円でした(実際はプロジェクト管理組織への経
費などが割り増しされていますが)。これは、150万円を僕の生活費に
あてて、150万円をMr.BOWさんに譲与するという意味です。もちろん、
そういうややこしいいきさつをPMに説明しても分かってもらえないの
は目にみえているので、申請としては僕一人が300万円の生活費を必要
としている、ということになっています。

・ヒアリング

  説明会での印象から、なんらかのヒアリングが行われると期待して
いたのですが、そういうことはありませんでした。もしかしたら、採
択されたプロジェクトにはヒアリングがあったのかもしれませんが。

・各PMの不採択の理由

  6/14にIPAからの郵便が届き、第二希望だった萩谷先生は不採択だと
いう内容でした。理由は以下の通りでした。

|コンパクトで高速なOSという目的は理解できますが、他のOSと比較し
|た場合の優位性として、OSのサイズと実行効率のみを基準とするのは
|、現在のハードウェアの事情に鑑みて魅力的なものではありません。
|また、記述言語がアセンブラという選択も時代に逆行しています。

  また、6/24には第一希望だった村岡先生についても不採択の通知が
来ました。理由は以下の通りでした。

|選考基準の、申請者は学生又は学生に準ずるという条件を満たしてい
|ないので、不採択としました。

・考察

  僕が思うに、そもそもPMの選択が最大の失敗だったのではないかと思
います。村岡先生の「学生に準ずる」というのに対して、僕は浪人生扱
いにしてくれることを望んで応募しました(その辺のことは書いてあり
ます)。というのは、僕は博士課程に進んで学業の合間にOSASK開発を
続けるか、それとも一度学業を打ち切ってOSASK開発に専念するかを2年
前に選んだからです。片手間にOSASKを作っている大学院生よりも、そ
の時間と費用すら惜しんであえて学校に通うことなく開発に専念してい
る無職の方が、プロジェクト推進に向けて強い意識を持っているのは明
白でしょう。だから、僕はこれを理由に不採択になるなんてことは全く
考えていませんでしたし、この点について最初不安だったMr.BOWさんも
、賛成してくれていました。

  ・・・この考えが甘かったというのが、今の僕の気持ちです。甘いと
いうか、どういう趣旨で「学生」を選んでいるのか、それが僕には理解
できていなかったのでしょう(今もこれは分かりませんが)。

  僕としては、PMに見る目がなかったという感想は持っていません。そ
もそもIPAからPMに託された仕事は、「PMがPMの基準で選ぶ」というこ
とです。したがってPMはそれぞれ自分の基準で選んだものと思います。
不採択の理由までちゃんと通知してくれるなんて、むしろ感激です。

  またIPAがちゃんとしたPMを揃えてくれていなかった、という気持ち
もほとんどありません。OSASKにぴったりだったのは、紀先生や新部先
生だったのかもしれません。そうだとすれば、それらを選ばなかった僕
たちに問題があったのであって、IPAのPM人選には問題がなかったのか
もしれません。

  ただIPAに文句を言いたいこともあります。それは、PMに関する情報
が少ないことと、PMの発表や公募要領の公開が遅いことです。せめて3
ヶ月前くらいにはほしいと思いました。

  ええと書き忘れましたが、どのPMを選んでも萩谷先生のようにOSASK
そのものの価値を理解してくれないという可能性はあります。その場合
IPAのPM人選にIPAの意志が現れていると考えて、IPAはOSASK計画のよう
な内容のプロジェクトの価値を認めていないと判断することはできるで
しょう。・・・この場合、もし将来にわたってOSASKが価値のないOSに
とどまれば、IPAに先見の明があったといえます。しかし逆にOSASKが価
値あるOSに成長した場合、IPAは支援するべき人に支援せず、そうでな
いところに支援してしまったという汚名をかぶることになります。

  そういう意味では、萩谷先生と僕はどちらかが「先見の明が無かった
」と言われる関係にあります。「時代に逆行」などと言われていますが
、これは申請書の中で十分に説明してあることです。僕の主張は、これ
こそ新時代であるということであって、それゆえに未来観に関する主張
の食い違いなのです。萩谷先生にとってOSASKの奇抜さは未踏性として
解釈し得ないものなのでしょう。

・来年度応募へ向けて

  僕は今回の公募を「練習」だと思っています。もちろんいきなりうま
くいけばラッキーですが、僕はまだ貯金を1年分持っていて、ですから
そう差し迫った状態ではないのです。来年度は本番です。ということで
僕は来年度応募のために、今回の不採択の理由を十分に吟味したいと思
っています。IPAに要望として挙げた方がいいと思われることは、まと
めて申し立てようとも思っています。

  そんなわけで、皆さんからいろんなご意見を伺いたいです。僕は「こ
うすれば良かったんじゃないか」というご意見を伺いたいわけです。「
過ぎたことだからいまさら言ってもしょうがない」なんて思わないでく
ださい。

  何か不明のことがありましたら、なんなりとご質問ください。でも、
OSASK ver.2.6とNASKができるまでは、お返事が遅くなるかもしれませ
ん。それはお許しください。

・Mr.BOWさんからの伝言

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OSASKコミュニティーのみなさん。はじめまして。
 自分はMr.BOW(仮名)と名乗るものです。この度OSASKをIPAに申請して資金
を得る計画に賛同し、川合氏のお手伝いをしておりました。現在、平成14年度の
採択について、OSASK計画は不採用という結果が確定しました。大変残念です。
 今回の不採用に関しては様々な要因があるとは思いますが、そのなかには私
Mr.BOWの手法や能力不足も少なからず存在するのではと思います。もちろんIPA
はあのような仕組みのものですので、お手伝いをした者の能力で合否が分かれる
などと奢った考えをもっているわけではないのですが、晴れて採用を願い、また
応援、期待をして頂いた方々にせめて一言でもお詫びを申し上げたく、この文書
をしたためました。
 川合氏は来年度も挑戦するつもりだと思います。その折はなにとぞ応援ご助力
頂きたく思います。

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  それでは。

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    川合 秀実(KAWAI Hidemi)
OSASK計画代表 / システム設計開発担当
E-mail:kawai !Atmark! imasy.org
Homepage http://www.imasy.org/~kawai/