このメールは、OSASK伝言板に書き込まれた内容です。 この書き込みに返事を書く場合は、下のURLから書き込みを行なって下さい http://www.imasy.org/~mone/osask/index.cgi?REFER=3ec82f01_5f27 2003/05/19 10:10 hideyosi すこし記載が足りなかったようなので追記します。 [OSASK 6175]の文章は、「街の名無し氏が言いたいことって、こういうことですか?」 という物であり、Linuxの実情や私の意見・主張とは必ずしも一致しないものです。 また、現時点では名無し氏からのレスがないので、これについて話をするのは待ってください。 ちなみに、今回例として使ったLinuxの場合はこういう感じみたいです。 (大雑把な情報ですので、細かい部分が違うかもしれません。正確に理解している方、ツッコミよろしく) 1. まず大前提として、Linuxはリーナス・トーバルズ氏が自分で作成したOS用のカーネルの名称です。 2. 「OSとはなんぞや・どこからどこまでがOSか?」という疑問はこの場合は無意味です。Linuxは リーナス氏が書いた、あのソースコードのみにオリジナリティーがあり、それをカーネルとして 使おうが、読み物として使おうが、それはリーナス氏が関知するところではないという建前に なっています。 3. リーナス氏の権利に触発するのは、それが派生物であれオリジナルであれ、リーナス氏以外の者が 「Linux 2.x.xx」というように、正式版として、または意図的に正式版と誤解させることを目的 にしてリリースすることです。 4. 氏の意図としては、Linuxは自由に使ってよい言葉です。しかし、無用な誤解や混同を避ける為に 「Linux 2.x.xx」に関しては唯一無比、リーナス・トーバルズのみがリリースするということに なっています。「いや、それでも誤解される」「それでは本当の自由ではない」という意見がない わけではないようです。しかし、「誰でも自由に使えるように」と「無用な誤解や混乱を目的に 使用されないように」という二つのことをギリギリでバランシングした結果、こういうふうに 落ち着いたようです。 5. たとえばVineLinuxは、あくまでも“Vine”なLinuxであり、“Linux 2.x.xxx”ではありません。 Vine側に「VineLinuxはリーナスが作ったOSである」という間違った情報を一般に意図的に植え付ける 目的がない以上、リーナスとしてはOKというわけです。 (当然ですが、「いや、俺は誤解したぞ。Vineはおかしい」という意見はまったく無意味です。 それを判断し、決定することが出来るのはリーナス氏のみであり、そのリーナス氏が文句を 言っていない以上問題はありません。) 6. では、たとえば最新のLinuxカーネルであるVer.2.4.25 を改良・カスタムしたとします。これを A氏が「Linux Ver.2.4.28」として公開、B氏が「ヤマダLinux Ver.2.4.28」として公開しました。 これはどうでしょう。おわかりの通り、A氏はシロ・B氏はクロとなります。しかし、これはあくまで 表面的なことです。たとえばA氏に対して苦情があり、A氏は「申し訳ない、知らなかった、そんな つもりではなかった。すぐに撤回する」という場合はその時点で問題はなくなり、逆にB氏のものを よくよく調べてみると、ドキュメントやパッケージに、「ヤマダLinuxはリーナスが作ったLinuxで ある」と書かれてあった場合、おそらく問題になるでしょう。 7. ここで問題となるのが、「趣旨」という概念です。ライセンスの文章を聖典のごとく扱い、 それに触発するものは全て違反・合法とするみたいな感じ。頭が悪い子供が法律の条文を 覚えるとギャーギャー言いはじめることがあるでしょう。あれですね。そういう運用や 考え方は間違っています。趣旨すなわち、「何を目的として」という部分です。 リーナス氏がLinuxをああいう風に扱っているのは、あくまでも「余分な混乱を避ける」 「だれでも自由にたのしく」そして、「なるだけ単純明快に」が目的です。ライセンスの 文章やなんかはそのために存在し、趣旨を超えるものではありません。6の例を見れば わかる通り、なぜシロになり、なぜクロになるのかは「趣旨はなにか」から考えれば なるほど納得できると思います。 最後に、これらのことはあくまでもリーナス氏等個人の目的や考え方についての話です。 「法律上はどうか」となるとまったく別の話になってきます。また法律と一口にいっても 日本国のものなのか・刑事なのか・民事なのか・国際法では・アメリカの法律では等など、 おのおので一晩語れるものです。どうぞ誤解なきようの。 川合さんへ > そういう措置がもしないのなら、僕は今後もLinuxブランドがキープされるか >どうかについては、心配になります(もちろん、そういう方針をあえて選んでい >るのでしょうから、それに難癖を付けるつもりはありません)。 これについては、実は私もまったく同感です。いや、心配どころか、現に問題がいくつか ありました。簡単にいうと、 ●とある一私企業がLinuxを商標登録し、Linuxを独占しようとした。 ●何人かの人間が、OSではなく印刷物としてLinuxのロゴを商標登録した。印刷物という とても抽象的なもので登録を取ることで、たとえばLinux Magazin の表紙に難癖を つけることが可能になる。 今現在はよくも悪くも沈静化しているようですが。 Linuxの良いところは、とにかく自由なことです。悪いところは、自由過ぎることです。 しかし、自由と不自由はどんなものにも両方備わっており、そうでなくてはなりません。 この相反するふたつをどこでバランシングするのかということでしょう。おそらくリーナス氏 は、現在のLinuxのバランシングを実験として捕らえているのか、もしくは致命的な問題が 出ていないのでほったらかしてあるかのどちらかでしょう。そんなわけで、これはそれこそ 何年かしてみないと解りませんね。 (^^;) いまのところは、まあ問題なくいっているというだけではないかと・・・・。 そんなわけで、そういう意味ではLinuxやFreeBSD、はては任意タンなどなど。 こういった手のものは、OSASKにとってすばらしい参考になりうると思います。 これらは伊達に現在の姿をしているわけではなく、多くの問題を克服してきたという 実績。それと同時に、これだけのものになっているのにいまだ解決できていない問題も たくさん抱えています。(偉大なる失敗ってとこですね。) だんだん興味が出てきたので、こういった手のものをもっとキチンと収集・分析して みようと考えています。